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全く聞き覚えがない名前。フレイムという家名が猛烈に気になる。
「じゃじゃーん、エッタ殿下でーす。ちなみにあたしはフラちゃんです」
殿下。つまりは王家に連なる貴人を表す敬称だ。
しかし永年城に勤務していて聞いたことがない成人王族が居るのは納得できない。
「真に失礼ながら、御身の証を立てられますでしょうか」
紳士的な態度で臨む。もし僭称ならば肩を怒らせて斬りかかって来るだろう。
ヘンリエッタは動こうとしない、代わりにフラが証明を借りてルーニーに渡す。
「はい、おじちゃん」
「……フレイム王国最高顧問印?」
胡散臭い、何せそのような名誉職の席次は聞いたことがない。
「ほい、もう一枚」
疑いの眼差しを向けて警戒しながら受け取る。
「聖マリーベル教の印鑑……これは?」
第一種銀装三ツ星十字。聖職者、それも高位の者でなければ理解しえない。
書類をアレックスに見せて尋ねる。
「リーフに保管されている聖マリーベル教の聖遺物、その印章と同じものです」
彼は嘘をついてはいない、事実を端的に述べた。
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