君と私の道中劇

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「ルーニー将軍ならそうかもね。でも賛同しがたい気持ちが強いのよね?」  何故決め付けてくるのか、多少不愉快ではあったが反応を見せない。  フラは椅子から立ち上がりルーニーの近くをゆっくりと歩く。  まるで後ろにも目がついているかのように隙が全く無い。 「フレイム国王が意志を示し開戦した、となってはいるわ。だからこそユリシーズ国家元帥も従っている」  国王が最高司令官でもあるのは全国変わらない事実だ。  民は国王を慕い、支え、君臨するのを求めている。 「けれどあなたは違うわ」 「何が言いたい」  女家令のマーサがはらはらしながら見守っている。 「ルーニー将軍、あなたは炎獄騎士団長を名乗り、戦場にも出ずにここに居る」 「出撃命令が下らなかっただけだ」 「そう。でも正しい戦だと信じていたら、きっと参戦を求めたそれも一番槍を。どうかしら」  永年続く炎獄騎士団。フレイム最高峰の騎士の集まり。  それが数百年ぶりの国運をかけた戦に出ない。団長として看過しえない事。  ルーニーは肯定も否定もしなかった。
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