竜と精霊の郷

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「そう、ですの……」  複雑な想いが交差する。ヘンリエッタは何を感じているだろう。 「竜が沢山ね。ところで新竜山ってどのあたりかな?」  そっちには何がいるのか、精霊がという話は触れてはならないが。 「申し訳ありません。そのような名は耳にしたことがなく、お力になれず残念です」  他意があるわけではなさそうだ。その位は解った、あの団長の下にある騎士なのだから  一部例外は居るようだが、事情があるに違いない。 「そうなんだ。それにしてもここ、重要な拠点だよね」  固守したら連絡線を遮断可能、戦略上でかなりの計算になる。 「ここと隣にあるラーマヴェイン砦、かつては一人の将が統括しておりました」  隘路を北に行くともう一ヶ所似たような地形がある。  がっちりと相互支援を望める同一指揮者の勢力範囲。 「黒色槍騎兵団の拠点ですね」  ファティマの超長期契約傭兵団。つまりは国軍ではない、それゆえに干渉地帯のように扱われている。  政治的な妥結の結果と言えるが、現実は国境線にされていた。
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