竜と精霊の郷

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◇  朝までには部屋に戻っていた。誰にも気付かれていないか、或いは見逃してくれていたのか。  あまり芳しくなかったのを察して、アンジェリナが暖かい紅茶を持ってくる。 「はい。もう少しで終わるみたいよ」  閉じ籠もってしまったフラの部屋から物音が聞こえているらしい。  問題があったとしても何が出来るのかすらわからない。 「良い天気になりそうですね」  おはようございます、とアレックスがやって来た。  サロンのような場所に居るが、どうにも騎士らの視線が昨日と違っている。 「アレク、何かあったの?」  熱っぽい視線、敵意ではない。尊敬の眼差しとでもいうのだろうか。 「早朝訓練にお付き合いをしました、それだけですよ」  どうもおかしいと思い聞いてみると、二十人相手に乱戦の訓練で無傷の圧勝をしたそうだ。  ついでに「アンジェリナは私より強いですよ」などといい放ったらしい。  何とも言えない疲労感が一気に襲い掛かってくる。  先の決闘での結果を鑑みてのことだろう、フラについては触れていないそうだが。
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