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第7章 六本のバラ(続き)
確かに、田村と再会をして既に半年。
私たちは、徐々にお互いの距離を縮めてきている。
そしてその事を、今の私は嫌だと思っていないし、
むしろ、昔よりももっと彼の事を受け入れたいとも思っている。
しかし――。
キスは、別に問題ないのよねぇ。
私は、またしても声にはせずに、そっと胸の内で呟いた。
だけど、そこまでいっちゃったら、まさか十代の初恋じゃあるまいし、
その先は、もう雰囲気とタイミングになっちゃうもんじゃない。
私は、仕事机の端に置いてある紅茶の入ったマグに手を伸ばす。
そして、まだ湯気をあげている紅茶をそっと一口すすり、
マグを手にしたまま原書の本を数ページ、パラパラと繰った。
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