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「えっ……」
思いも寄らない言葉に、思わず目を上げる。
するとそこには、ニコニコと嬉しそうな彼の顔があった。
そんな彼を目に、私は、瞬時に顔が上気するのを感じた。
「そ、そんなぁ。可愛いなんて、もう……」
だが、私の言葉の先をやんわりと遮り、柔らかな彼の声が言う。
「可愛いよ、美沙ちゃんは。今も昔も、ずっと。
それとね、これには、もう一つ意味があるんだ」
でも、それは後でね。
再びニコッとした彼は、「さあ、カニ、カニ!」と
勝手知ったようにキッチンに向かいだす。
しかし玄関に残された私は、なんとなく彼のマジックにかけられたように、
少しだけぼんやりとその場に立ち尽くしていた。
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