第7章  六本のバラ(続き)

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「えっ……」 思いも寄らない言葉に、思わず目を上げる。 するとそこには、ニコニコと嬉しそうな彼の顔があった。 そんな彼を目に、私は、瞬時に顔が上気するのを感じた。 「そ、そんなぁ。可愛いなんて、もう……」 だが、私の言葉の先をやんわりと遮り、柔らかな彼の声が言う。 「可愛いよ、美沙ちゃんは。今も昔も、ずっと。 それとね、これには、もう一つ意味があるんだ」 でも、それは後でね。 再びニコッとした彼は、「さあ、カニ、カニ!」と 勝手知ったようにキッチンに向かいだす。 しかし玄関に残された私は、なんとなく彼のマジックにかけられたように、 少しだけぼんやりとその場に立ち尽くしていた。
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