第7章  六本のバラ(続き)

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大ぶりな発泡スチロールの箱に入っていたのは、 これまた、大きなズワイガニが二杯。 「すごぉーい。立派ねぇ」 「うん、食べ応えありそうだ」 目を輝かせ合った私たちは、それで、いくつかの料理を一緒に作った。 カルパッチョ風の蟹サラダ。 天ぷら。そしてもちろん、ゆで蟹。 それに私は、一品、ひじきの五目煮を加えて食卓に盛る。 それにしてもやはり、いくつになっても、どんな所でも 日本人の蟹好きは変わらないらしい。 私たちは、この蟹づくしの料理を目の前に「うわぁ!」と 子供のような歓声を上げ、彼ご所望のよく冷やした白ワインで乾杯をする。 そしてその後は、これも決まり事のように 「美味しい」以外の言葉もないまま、 時折、感嘆の唸り声を交えて食事を終えた。
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