第7章  六本のバラ(続き)

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ええっと……。出会ってから、ひと月後のスキーデート。 彼の山荘で、ベッド・インかぁ。 もっとも週に何度か会ってるわけだし、まぁ、悪くない頃合かもね。 私は、もう一口、紅茶をふくんで、そっとため息のように息を吐き出す。 もちろん、40年も生きてきて「男性」を知らないなどと 野暮で青臭いことを言うつもりはない。 しかし、いかに気持ちは十数年前より傾いていようとも、 やはり年齢だけはどうすることも叶わない。 30と40じゃあねぇ……。 思わず、もう一度ため息が漏れ出そうになり、 私は、それを紅茶と一緒に呑み込んだ。 確かに、焦りを感じつつ勤しむ毎朝のトレーニング成果もあって、 我ながら、この年にしては贅肉が少ないと思う。 だが、いくら頑張ったところで、 やはり締まりを失いつつある腹部や臀部の弛みは、どうにもならない。 何よりも、その体のラインを崩す元でもある肌の張りと艶は、 どんなに頑張ったところで、それこそ限界がある。
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