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しかも、手も握らなかったといえども、
私が田村と初めて出会った頃は、二十歳を過ぎたばかり。
そんな肌など、たとえ天地がひっくり返ろうと今の私には望みようがない。
その現実が、このところ私の無意識な溜息を誘い出している。
しかし、
だけど――。
私は、マグを口元に運びかけ、思わず己に呆れ返った。
ちょっと待ってよ。私たち、キスもしてないのよ?
なのに、私ったら……。
まるっきり、彼とそうなる前提じゃない。
っていうか、彼がそうしてくるの期待してるみたい。
「もう、バッカみたい!」
あまりに小娘のような自分の反応と、
それでも、どこか戸惑いと期待が拭いきれない自分。
それに、なぜか腹が立ってくる。
ところが、その不安は、私が心の準備などする余裕もないほど
唐突に、そして素早く現実として姿になった。
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