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リビングからは結兄の言った通り、ロールキャベツの美味しそうな匂いが漂ってきて、一気にお腹が空いてくる。
「ん~、美味しそう!」
今日はトマトベースで煮込んであるロールキャベツが、お皿の上で湯気を出している。
ママが「温かいうちに食べなさい」という前に、すでに頬張っていた私。
「美味しー!」
「……さっきは食欲ないって言ってたのに」
結兄がクスっと笑いながら、ポソっと呟く。
………どうせ、単純だもんっ。
だから、結兄に女として見てもらえないんだろうか。
好きな気持ちは誰にも負けないのに。
隣に座る結兄を見上げると、美味しそうに缶ビールを飲んでいる。
私の知らない大人の表情。
私の視線に気付いた結兄が呆れた笑みを漏らす。
「見すぎ。なに?ロールキャベツ欲しいの?」
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