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私は小さく頬を膨らますと、「いらない」とだけ言ってプイっと顔を逸らす。
子供扱いはされたくないのに、子供っぽい態度しかとれない自分が嫌になる。
食事を終え、後片付けを始めた頃、リビングのドアからお姉ちゃんが顔を出す。
「ただいまー、…あ、結兄来てたの?」
「おかえり。今日、陽菜のカテキョの日だから」
ソファで寛ぎながらコーヒーを飲む結兄は、もう家族の一員みたいなもの。
「ああ、週イチの結兄を独占できる日か。大変だねー」
私の結兄への好意は家族のみんなが知ってることだけど、本気で好きだとは微塵も思っていないだろう。
「陽菜はやれば出来る子だから、大変じゃないよ。……まぁ、いつも俺ばっか見て集中できないのは困るけど」
「うわぁー……、ほんっと結兄好きだよね。どこがいいの?」
若干引き気味のお姉ちゃんが、コップに入れた麦茶を一気に飲み干す。
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