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「結兄は、陽菜の扱いをよくわかってるよね」
莉子と軽く答え合わせをした後、鞄を手に教室を後にした。
「それって、私が単純だってこと?」
「だね」
自分でもわかっていることを涼しい顔でさらっと言われて、当たっているだけに何も言い返せない。
「どうせ単純ですよー」
「陽菜は、そのままでいてよ」
意味ありげに言う莉子に首を傾げてみても、ただ微笑むだけだった。
私は私。
何も変わらない自信があったはずなのに、『そのままでいる』ということが難しいなんて、この時はまだ知らない。
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