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ーーー数日後。
「ただいまー……ちょ、母さん、アレなに?」
仕事から帰って来たお兄ちゃんが指差す先には、部屋の隅で膝を抱えて丸くなる私がいる。
「テスト、一教科平均点以下で落ち込んでるのよ」
「は?それ以外は平均点あったんだろ?一教科くらい良くない?」
「……良くない」
この世の終わりが来たような声でボソっと呟くと、ボロボロと涙を零す。
それをギョっとした顔で見るお兄ちゃん。
「………結兄とデートできるチャンスだったのに……っ、……すっごくすっごく楽しみに頑張ったのにぃー……」
唯一、平均点をとれなかった教科は、得意教科だから今回も自信があった。
なのに、よりによって今回平均点が高くて、しかも三点足りなかったというオマケ付き。
「……ほらっ、陽菜も頑張ったのは結果を見ればわかるんだし、結人も多目に見てくれるって。なんなら兄ちゃんが結人に言ってやってもいいし……」
「それだけはやめて!……同情でデートされても嬉しくなんかない……」
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