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「帰ってくるなり、敦希がえらい剣幕で報告しに来たよ。成績表を見せて、陽菜は一生懸命頑張ってたって熱弁してた。ほんと、敦希は陽菜が可愛くて仕方ないんだな」
普段から私のすることに口煩いお兄ちゃんだけど、全部私を思ってのことだって知ってる。
時々ウザいと思うこともあるけど、お兄ちゃんにはいっぱい助けてもらってきた。
「杏那も厳しいこと言うけど、陽菜がまた頑張るためだもんな」
それも知ってる。
お姉ちゃんは、いつもそう。
わざと厳しいことを言って悔しいって気持ちを持たせようとする。
「ほんと、陽菜は二人に愛されてんなー」
ハハッと笑う結兄の大きな手が、私の頭に優しくポンと触れる。
「成績表見たけど、数学の点数、前回よりずいぶん上がってた」
顔は見えなくても、優しく響く声が私の心に沁みていく。
「よく頑張ったよ」
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