181人が本棚に入れています
本棚に追加
シンー、と静まり返る空気の中、結兄は眉を潜そめて私をまじまじと見る。
「………陽菜、俺はお前が女だってことはわかってるぞ?」
「は?」
結兄の言葉に思いっきり間抜けな顔をした私は、すぐに結兄以上に眉を潜ませる。
「そういう意味じゃないんだけど」
結兄を困らせてることくらいわかる。
いつも肝心なことには触れずに、こうして話をはぐらかしてばかり。
でも私だって簡単には退けない。
「……陽菜、俺はお前のこと可愛い妹だと思ってるよ」
いつも同じ答えの繰り返し。
「これから先も、きっとそれは変わらないと思う」
もう聞き飽きた。
「………と言ったところで、陽菜は納得しないんだろうな」
最初のコメントを投稿しよう!