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左斜め前に座るお兄ちゃんを静かに睨むと、目の前の料理を小皿に取り分けて、結兄の前へ置く。
「はいっ、結兄」
「ん、ありがとう」
「ひーな、お兄ちゃんにも取って!」
「自分で取れば」
ぐいっとお兄ちゃんの方へ煮込みハンバーグが入った器を押しやると、鬱陶しいくらいに悲しそうな顔をする。
すると、その様子を黙って眺めていたパパがハハハ!と豪快に笑った。
「陽菜、結人くんが好きなのはわかるけど、少しはお兄ちゃんにも優しくしてあげなさい。結人くん、いつも陽菜が迷惑かけて悪いね」
コップに半分程入ったビールを傾けながら、パパは眉を下げて笑う。
「いえ……」
「そうだぞ!兄ちゃんにも優しくしてよ!あんなに小さい時は、お兄ちゃん、お兄ちゃんって言ってついて歩いてたのに……っ」
「げ、もう酔っ払ってんの?」
缶ビール一本で酔っ払うくらいお兄ちゃんはアルコールに弱い。
更に酔っ払うと昔話を延々と聞かせるというオマケ付き。
時には泣き出すこともあるくらい厄介。
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