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「陽菜、敦希にも取ってやって」
結兄が苦笑いでお兄ちゃんの前に置いてあった器を取ると私に手渡す。
私はそれを受け取ると、渋々押しやった煮込みハンバーグを引き寄せて器に盛った。
結兄は私の扱いをよくわかっている。
結兄から頼まれれば、私が断れないことを。
「はい、どーぞっ!」
お兄ちゃんに向かって器を差し出せば、さっきまでとは違い、嬉しそうな顔を見せた。
「はいはい、じゃあ冷めないうちに食べて!」
ママの一言で一斉に箸が動き出す。
「そういや、杏那は?」
「何かゼミで集まりがあるって出掛けた」
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