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お兄ちゃんと結兄がグラスにビールを注ぎ合いながら、他愛ない会話を繰り広げている。
………私だって結兄と話したいのに。
ご飯を頬張りながら恨めしい目でじっとお兄ちゃんを見つめていると、それに気付いた結兄がクス、と笑う。
「どうした、陽菜。どれか取ってほしい?」
「………ううん」
「違えよ、結人。陽菜は兄ちゃんに取ってほしいんだよな!」
「鈍感」
チクリと嫌味を零す私に、お兄ちゃんは意味がわからないという顔で結兄を見る。
結兄はその視線に気付かないフリをしてビールをグビ、と飲むと、
「そうだ、陽菜。合格祝いにどこか連れて行くってやつ、いつにする?」
「えっ、ほんとに連れてってくれるのっ!?」
一瞬にして目を輝かせる私を見て、結兄はニッコリと微笑む。
「約束しただろ。ちゃんと連れて行くよ」
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