181人が本棚に入れています
本棚に追加
「結兄っ、次あれ乗りたいっ!」
「そんな急がなくても、あれは逃げないから」
ハイテンションでアトラクションを指差す私を、結兄は苦笑する。
ただでさえここはテンションが上がる場所なのに、隣には大好きな結兄。
落ち着けと言う方が無理な話だ。
「だってっ、結兄と二人で遠出なんて久し振りなんだもん」
結兄と二人で出掛けるといえば、いつも近所のスーパーやコンビニ、レンタル店くらい。
しかも、それは私がくっ付いて行っているだけ。
だけど今日はれっきとした"デート"と言ったっていいはず。
少しでも可愛く見せたくて、お姉ちゃんから借りたニットワンピースにライダースジャケット。
足元はいつだったか、莉子が読んでいた雑誌に"男の人は絶対領域に弱い"と書いてあったことを思い出し、ニーハイソックスにスニーカー。
それから、髪は不器用ながらにも上でお団子に纏め上げた。
最初のコメントを投稿しよう!