2.一歩、大人に近付くには?

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「俺は敦希さんに漫画を借りに来たんだよ。別に陽菜の話なんか、これっぽっちも興味ないし」 紅茶に口をつけながら、再び視線を漫画へ落とす。 「あっそ。じゃあ、さっさとお兄ちゃんの部屋に行けば」 「そうしたいところだけど、今、敦希さん電話中なんだよ。邪魔しちゃわりーから、暇ついでに陽菜の話を聞いてやってんの」 「別に頼んでないし!」 そう言うと蒼真はパタンと漫画を閉じ、私の方を見た。 「っんとに、お前は可愛くねーな」 「別に蒼真に可愛いと思われなくていいもん」 いつもと変わらない言い合いに莉子は、肩を震わせ笑いを堪えている。 「倉本、笑い過ぎ」 「だって……っ、相変わらず素直じゃないから」 莉子がニヤニヤと含み笑いをすれば、蒼真は少し焦ったような顔をして、なぜか閉じたばかりの漫画をパラパラと捲る。
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