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「あれ、そこ何回読むの?」
「うるせーよ」
「ハハっ、そりゃ内容なんか入ってこないよね」
「っ、お前バカだろ!黙ってろ」
…………まただ。
時々、莉子と蒼真の二人だけにしかわからない会話を目の当たりにすることがある。
元々よく三人でいたから、仲が良いのは別におかしいことではないんだけど……。
なんだろう、この入り込めない空気は。
ぼんやりと二人の会話に耳を傾け、じっとやり取りを眺める。
………莉子と話す蒼真は、楽しそうなんだよね。
………やっぱり好きだからかな。
………ていうか。私と扱い違いすぎない!?
すると、黙ったままの私に気付いた莉子が私を呼ぶ。
「陽菜?どうかした?」
「ん?…あ、ううん。なんでも……」
「どうせまた、ぼけっと結兄のことでも考えてんだろ」
呆れたような溜息と共に蒼真に鼻で笑われ、私は冷たい視線を向ける。
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