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私の冷ややかな視線に気付いたお兄ちゃんは
「違うんだよ、陽菜」と、何故か言い訳を始める。
「陽菜、聞いて。兄ちゃん、決して浮気したとかじゃないからな?ただ単に……」
「いや、どうでもいいし」
正直、お兄ちゃんのこんな話、興味もなければ、聞きたくもないんだけど。
浮気をしてなかったとしても、しょっちゅう彼女が変わる人なんて私は絶対イヤだ。
「ほら、蒼真も行きなよ。お兄ちゃん出掛けるなら、時間なくなるよ」
「わかってるっつーの」
そう言うと蒼真は漫画を片手に立ち上がり、「敦希さん、行きましょう」とお兄ちゃんを促し、ゆっくりとドアの向こう側へと消えていった。
「……敦希さん、久し振りに見たけど、相変わらず格好いいよね」
莉子のどこかウキウキした声に、私は思いっきり眉を寄せる。
「どこが?」
「普通にイケメンじゃん。それに優しいし♪」
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