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「じゃあ、恋愛対象に見てよ!」
「……陽菜、俺の話聞いてた?」
決して交わることのない平行線の言い合いに終止符を打ったのは、階段の下から私達を呼ぶママの声。
「結人くん、陽菜ー!ご飯出来たから、降りて来なさい」
あからさまにホッとした顔をする結兄に向かって、わかりやすく不機嫌な顔を見せる。
「ほら、陽菜。ご飯だって」
「いらない!食欲ない!」
プイっと顔を背けてベッドに座ると、結兄は立ち上がってドアノブを掴む。
「残念。おばさん、今日は陽菜の大好きなロールキャベツにするって言ってたのになー」
「………」
「ご飯食べないと大きくなれないぞ?」
「………」
「そうなると、恋愛対象からもっと遠ざかるな」
「………っ、やっぱり食べるっ!」
グルンと首を結兄の方へ向ければ、腕を組みながらニヤニヤした笑みを浮かべていた。
私が不機嫌になった時のあやし方を知っている結兄には、やっぱり敵わない。
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