夢から覚めて、現実を見ろ

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 結婚とは尊厳の戦場だ。  自分の特徴のひとつとして、我慢強いほうだと特筆できる。上は兄に虐げられ、下は妹の面倒をみてきた生活の中で、自然と身に着いた。二十二年間も真ん中をやっていれば、嫌でもそうなるのかもしれない。しかし、私は誰も恨んではいない。そういうものだと割り切ってきた。大学まで行かせてもらい、就職もできた。同時に自立のため家を出た。オールクリアだ。過去は忘却の彼方へ廃棄処分。  そんな私のモットーは、『一に自分、二に仕事。三四が貯蓄で、五が家族』  自分のことは自分で。できないことはお願いし、対価を払う。それが大人として、最低限の資質だと自分に課し、三十年近くやってきた。だから、兄が浮気し、離婚の危機だろうが、妹の二股がバレて婚約破棄になろうが、私に責任はないと思っているし、事実、一切ない。そんな私に、家族はいうのだ。 「お前は冷たい」 「家族なんだし、支え合って」  話を聞くと、つまるところ『金を出せ』。  家のローン? 知るか。弁護士に聞け。慰謝料? 自腹を切れ。もしくは二股相手に相談しろ。なんなら、五分で審査がとおる、無人機が家の近所にある。恨むならブーメランに成りえるリスクを考えなかった脳みそを恨め。親の老後を貯蓄しているだけで、私は十分、責任を果たしている。繰り返していおう。  結婚とは尊厳の戦場だ。味方を背中から打った、お前たちが悪い。
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