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俺は、この人から戦闘のノウハウを教えてもらっている。
だから、師匠と呼べるこの人は信用に値する人物だ。
その人が言うのだから、多分間違いはないと思うが・・・さてはて、とうしたもんか。
「・・・分かった。藍さんの言うことだから、その依頼を引き受けよう」
「ちょっと、どうして藍の言葉で了承するのよ?」
紫がぷくぅと口を膨らましながら、俺をじっと抗議の目で訴えてくる。
「信用しているからだ」
「その言い方だと、まるで私が信用されてないみたいだけれど・・・?」
「ん?その意味で言ったんだが?」
「ひ、酷い!私、あなたをそんな風に育てた覚えはないわ!この親不孝者!」
「奇遇だねぇ、俺もあんたに育てられた覚えが全くないぞ」
そう言うとスキマからハンカチを取りだし、悔しそうにハンカチを噛む紫。
それが演技だと分かっている俺には、呆れてものも言えない。
そんな言い合いをする俺たちを、藍さんは苦笑しながら「まあまあ・・・」と宥めてくれた。
「神威、悪い話ではないぞ。この前金の他に依頼の報酬金も、たんまりと用意しよう」
「ふむ、それなら引き受けるより他はないな」
紫とじゃれ合うのを止め、俺は腕を組みながら紫に問う。
「それで、依頼の内容を改めて聞かせてくれ」
「ええ、いいわよ。私の依頼は・・・」
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