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やれやれ、どうしたもんか・・・と考えていると、緑髪の女性は持っていた日傘を不意に俺に向けた。
「ついでに言うと、この畑に許可なく立ち入った奴は殺すわ」
そう言った後、先程よりも殺気が鋭くなった。
途端、俺は本能的に危険を感じた。
「さようなら、人間」
その瞬間、弾幕が俺に向けて放たれた。
ただの人間には、絶対に回避や防御など不可能の攻撃。
ーそう、ただの人間にはね。
俺は頭をやられないよう体勢を低くし、彼女の弾幕に備える。
それらの弾幕は、容赦なく俺に襲いかかった。
あまりの衝撃に、砂埃が宙を舞う。
「これで死んだわね。さて、これ以上愚かな人間が入ってこないように、見せしめとして人里へ死体を放り込むとしましょうか」
「ーおいおい、誰が死体だって?」
「っ・・・!?」
巻き上がった砂埃が消え、俺の目に移ったのは驚きを隠せないでいる彼女の姿だった。
それはそうである、殺したと思ったはずの人間がピンピンして立っているのだから。
俺の『元に戻す程度の能力』を使えば、すぐ身体を元の状態へと戻すことが出来る。
どんな酷い怪我を負おうが、瞬時に戻せば何の問題もない。
・・・ただし、受けた痛みは伴うが。
「・・・おかしいわね、私の弾幕は全てあなたに命中したはず。なのに、どうして無傷なのかしら?」
「ああ、確かにおたくの弾幕は全て当たったよ。容赦ないねぇ、死ぬかと思った」
「当然よ、殺すつもりだったもの」
「ま、そりゃそうだな・・・」
実際、身体の損傷はあまりにも酷かった。
能力がなければ、俺は最初の一発でお陀仏だっただろう。
「・・・あなた、一体何者?もしかして、蓬莱人とかいう不死身の人間かしら?」
「なんだ、そのほうらいじんってのは?」
「今言ったわ、不死身の人間だと。あなた、ひょっとしてバカなの?」
おおう、初対面にバカたぁ随分と失礼な奴だな。
いやまあ、問答無用で襲撃する自体失礼極まりないことなんだが・・・。
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