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「なんとかなったな・・・」
時間はかかったが、『元に戻す程度の能力』で滅茶苦茶になった(主に彼女のせい)向日葵畑を修復した。
休む間もなく、俺は彼女の家へと向かう。
彼女の家は向日葵のすぐ近くにあり、容易に見付けることが出来た。
「おーい、居るか?」
とりあえず呼んでみる。
すると、ガチャリと音を立てて扉は開いた。
出迎えたのは、もちろんさっき襲いかかってきた緑髪の女性だ。
「私を呼んだということは、畑は綺麗に直したのかしら?」
「ああ、なんとかな」
「・・・本当でしょうね?」
俺の言葉が信じられないのか、彼女は再び鋭い視線で睨んできた。
「ああ、本当だ。なんなら、見に行けばいいさ」
「あなたも来なさい。嘘だったら、その場で粉々にしてあげるわ」
粉々って・・・そりゃ、元に戻しても痛いなぁ。
俺は先に歩く彼女の後ろを、やれやれと肩を落としながら付いていった。
「・・・嘘」
畑に着いた彼女からは、驚愕の言葉が出てきた。
「まさか、こんな短時間で完全に元通りにするなんて・・・あなた、一体何者?」
「俺はしがない万屋さ。ちょいと話を伺いたくてね、いいかい?」
「・・・」
ようやく話を聞く気になったのか、彼女は一度目を閉じて頷いた。
「・・・いいわ、聞いてあげる。ただし、こんな場所で話をするわけにもいかないわ。私の家にいらっしゃい」
「おっ、そいつぁありがたいねぇ」
「勘違いしないで。見知らぬ人間がいると、花たちが怯えるからよ」
憮然とした態度で、また先を歩く女性。
花たちが怯える、ねぇ・・・先程の弾幕といい、殺気といい、どうやら彼女は人間ではなさそうだ。
俺はろくでもない依頼を受けてしまったことに落胆しつつ、再び彼女に付いていった。
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