第一話 『導かれた出会い』

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さてはて、どうしたもんかと悩んでいると、彼女は小さく溜め息を吐いた。 「ふぅ・・・まあ、いいわ。花畑を元通りにしてくれた恩もあるし、特別に要望に応えてあげる」 「いいのかい・・・?」 「ええ、ただし・・あなた、万屋と言ったわね?それは何でもするということかしら?」 「いいや、面倒なことは引き受けないし、無賃で働くつもりもない」 きっぱりとそう言うと、彼女はぽかんとした後、意外にも「ふふっ・・・」と小さく笑った。 なんだ、こんな可愛い笑顔も出来るんじゃないか。 「おいおい、笑うこたぁないだろ?」 「あら、気に障ったかしら?でも、あなたみたいな面白い人間がいたなんて、可笑しくてね。そういう正直な人間、結構好きよ」 なんだか知らんが、気に入られたようだ。 「花を譲る代わりに、私から一つ依頼があるのだけれどいいかしら?」 「・・・先も言ったが、面倒事は断るぞ?」 「大丈夫よ、あなたなら楽な仕事だわ。それを達成したら、報酬としてお金と花をあげる。どうかしら?」 初の仕事で、二つも依頼が入ってくるのは実に有り難いことだ。 それで信頼も得るのなら、一石二鳥だ。 ならば、もはや迷う必要はない。 「いいぜ、やってやるよ。それで、その内容は?」 「人里に行って、食料を買ってきてほしいのよ」 「は・・・?」 聞いた瞬間、今度はこっちが呆気に取られてしまった。 どんな依頼が来るのかと思えば、そんなこと? 「そ、それだけかい?」 「ええ、それだけよ。買いに行かなきゃと思ってたんだけれど、面倒くさくてね」 そいつぁ、単なるパシりじゃないか? そう思ったが、口には出さない。
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