第十七章 消せない呪縛

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「安達蒼馬はいまどこにいますか」 「そんなのこっちが知りたい」  倉橋の声には、いらだちがにじんでいた。 「倒せないのなら────」 「本拠地ビルから引き離せばいいですか」  倉橋の言葉をさえぎり、長塚は言う。彼にしては珍しく、有無を言わさぬ口調だった。 「直属部隊の力を借りれるのであれば、引き離すことは可能です」 「影を倒せないというのなら仕方ない。直属部隊は好きに使えばいい。ただ、早急に引き離せ。これ以上絶対に本拠地ビルに被害を出すな」  威圧的な口調でそう告げると、倉橋は本拠地ビルの中へ早足で向かう。その倉橋に、本拠地ビルの中にいた隊員が駆け寄るのが見えた。停電に対する対処のためか。  倉橋とのやりとりを乗り越えた長塚は、はぁ~っと、深く息を吐き出した。
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