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私の前に立ち、マニュアル通りにドリンクメニューを手渡すこの店の店長。
しかし彼は、私がメニューを開く前に一杯目のドリンクを勝手に決めてしまう。
「キール、飲んで。
お前、白ワイン好きだったろ?」
「キール……?
うん、いいけど。」
勧められるまま承諾したが、どうしてサクちゃんは私にキールを勧めたのだろう。
彼の考えが読めず、グラスにカシスリキュールを注ぐ手元をじっと見つめる。
相変わらずその手付きはしなやかで、白ワインを注いだグラスの中身は絶妙なグラデーションを保ったままだ。
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