嫉妬心を煽る不意の駆引き

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有意義で自由な時間を期待して、私は五日間という長い休暇を取ったはず。 だけど、同窓会での一件があってから、どうも地元にいる事が落ち着かなくなってしまった。 予定よりも一日早い帰宅。 夕方札幌に着いて、この四日間会いたくて堪らなかった彼の家へ帰る。 しかし、この日も彼は仕事に行っていて、出迎えてくれたのは寝室のケージの中にいるポロンだけ。 怪我で痛む脚を引き摺りながら、私が帰宅する事を待ち侘びていたと言わんばかりにケージの前面に歩み寄って来る可愛い子。 相変わらず散らかったままの家の中を見て溜め息が零れた。 だけど、この家にいられるのも今日で最後だ。
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