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スーツ姿と疲れの滲む顔。
一目見ただけで、今日の彼は仕事帰りにここへ立ち寄ったのだという事が想像できた。
想定外に早かった私との再会を喜び、満面の笑みを浮かべながらグラスを口へ運ぶ康生さん。
そんな彼の顔を見ながら、ゆっくりとマドラーでグラスの中のグラデーションを掻き回す。
「そういえば、一昨日美瑛に行ってきたの!
友達に子どもが生まれて、嫁ぎ先が美馬牛の農家だったから……――――――」
共通の話題を探し、目の前にいる彼を楽しませようと頭を働かせる。
水商売を始めてから自然と話術を身に付けてはいるが、どうも私はいつも頭の動きが先行してしまうようだ。
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