嫉妬心を煽る不意の駆引き

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最後くらい、ちゃんと顔を見てお礼を言いたかった。 恋人として同棲していた三ヶ月に加え、ポロンの世話を手伝うために同居させてくれた事も。 彼との約束は、この帰省から戻ったら同居生活を解消するというもの。 しかし、彼が帰宅するのはきっと深夜以降。 それまでに私は、「帰れ」と言われたらすぐに対応できるようしっかりと荷造りを済ませておかなければならない。 ケージの中に手を差し伸べ、鼻をひくひくさせて飼い主の匂いを確かめるポロンの頭を撫でてやる。 きっと、この子だって寂しいはずだ。 この四ヶ月でサクちゃんにとても懐き、これまでいっぱい一緒に遊んでもらったのだから。
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