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なのに、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
彼の隣を歩く私はいつもより口数が少なかったと思う。
彼の弾む会話に耳を傾けていたら、あっという間に彼のマンションに着いた。
彼は私を部屋に入れると、いつものようにいちご柄のマグカップにお茶を注いでくれた。
「あのさ。俺、葉瑠に話してなかったことがあるんだけど…」
一息ついた後、彼は申し訳なさそうに口を開いた。
何だか嫌な予感がして、素早く彼を見上げると、彼はどこか言葉を選びながら話し始めた。
「実は、夏季休暇中に海外研修があるんだ。
研究メンバーとアメリカに二週間ほど滞在する予定で…。
だから…必然的に美桜もいるんだけど、でも、葉瑠が心配することは何もないから。
って、こんな言い訳のように告げられても逆に不安になるだけだよな…ごめん」
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