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つい最近、彼と約束したんだから。
『なぁ、葉瑠。
今後今より会えないことが多くなるかもしれない。
葉瑠も研究が入ってくるだろ?
すれ違うことが多くなると思う。
でも、何があっても俺の言葉を信じて欲しい。
俺も葉瑠から聞いたことしか信じないから』
楢崎くんは言っていた。
不安になったらすぐに言って、って。
言わないとわからない。
だから言葉にしてちゃんと伝えて。
それが今後の俺らを繋ぎとめる手段でもあるからって。
このまま不安を野放しにしていても、結局は一人で苦しむだけだ。
バイトで疲れている彼に申し訳ないと思いつつも、勇気を奮い立たせて、話を切り出した。
「…ね、楢崎くん。
楢崎くんのバイト先に私たちと同年代の女の子いる?」
「ああ、一人いるよ。有里果のことかな」
彼女の名前を呼ぶ彼の口調にはどこか親しみがある。
きっと、バイト先でも仲が良いのだろう。
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