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「もうわかるわよね?
今とても大事な時期なの。
…邪魔しないで」
「……」
「きっと、そのうち彼から報告…いや…挨拶があるわ」
挨拶…?
首を傾げる私を哀れに感じたのか、美桜さんは鼻で笑った。
「さよなら…。
ごめんなさいね」
もうそこには、美桜さんの姿はなかった。
隙を見て間に入れば、閉まるドアを止めに入ることだってできたのかもしれない。
だけど、もうそんな気力さえも私にはなかった。
たとえようのない痛みに頭がぐらりと揺れる。
身動きすら取れないほど、その場に立ち尽くしていた。
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