8.すれ違い

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「もうわかるわよね? 今とても大事な時期なの。 …邪魔しないで」 「……」 「きっと、そのうち彼から報告…いや…挨拶があるわ」 挨拶…? 首を傾げる私を哀れに感じたのか、美桜さんは鼻で笑った。 「さよなら…。 ごめんなさいね」 もうそこには、美桜さんの姿はなかった。 隙を見て間に入れば、閉まるドアを止めに入ることだってできたのかもしれない。 だけど、もうそんな気力さえも私にはなかった。 たとえようのない痛みに頭がぐらりと揺れる。 身動きすら取れないほど、その場に立ち尽くしていた。
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