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………雨。
廊下の外から、殴りつけるように地面を叩く雨の音が、響いていた。
冷たい床にしゃがみ込むと、ぼんやりと降り続ける雨を見つめた。
雨のせいだろうか?
廊下の隙間から入り込んだ冷たい風が私の肌に触れる。
呼吸をするたびに漏れる白い息は空気に触れるとすぐに消えてなくなった。
あの事件から一週間が経った。
ようやく心の落ち着きを取り戻し、気持ちの整理をすることもできた。
このままじゃいけないと思った私は、勇気を振り絞って、彼に会いに行くことを決めた。
昨日の夜、私は久しぶりに携帯の電源を入れた。
案の定、彼からは何度も連絡が来ていて、心配するメールもたくさん送られていた。
だけど、ほんの数日前を境に……パタリと彼からの連絡が途絶えていたのだ。
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