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一時間近く経った頃、エレベーターの開く音が聞こえてきた。
乾いた足音が次第に大きくなって、それは私が待ち望んでいたことだった。
彼だ!
彼が帰ってきた!
勢いよく立ち上がり、足音が聞こえる方へ顔を向けた瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。
私の視界にいるには、楢崎くんと彼の腕に寄り添う美桜さんの姿だった。
「……」
ズルズルと鞄が腕から落下した。
互いに口は開かない。
沈黙の時間が続いて、呆然と立ち尽くしていると、先に口を開いたのは美桜さんだった。
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