10.傷。

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私を見下ろす彼の瞳の冷ややかさに、凍りついて動けなくなった。 「急に連絡が途絶えて、どれだけ心配したと思ってんの?」 彼は鋭い瞳で私を睨んだ。 知らない……。 こんな彼、知らない…。 『葉瑠』 私の大好きな優しい笑顔で、声で、名前を呼んでくれるはずなのに。 いつもの笑顔を期待していた私は、すぐに言葉に出すきとができなかった。 何も発さない私を彼は気にも止めず、鍵をさしてドアを開ける。 「…入れば」 無機質な声が廊下に響いた。
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