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彼の後を追うように恐る恐る玄関に足を踏み入れる。
冷たい床を歩いていると、所々に積み重ねられた段ボール箱が視界に入ってきた。
「…あの、ごめんなさい」
沈黙に耐え切れず、口を開いた。
「連絡できなくて…いろいろ、事情があって…」
「へぇ。他の男と一緒にいたことが?」
事情を説明しようと試みるも、彼の威圧的な言葉で遮られてしまう。
「え…?」
彼が何を言っているのか、何が言いたいのか、私には全くわからなかった。
「それで今さら、謝りに来たってことか」
「どういう意味? 違うよ……」
誤解を解きたい気持ちで焦って、声が上擦ってしまう。
私を見据える彼の視線は氷のように冷たく、そんな彼を直視できず視線を逸らしてしまった。
「いっ…」
すると、突然腕に痛みが走って、驚いて顔を上げた。
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