第2章 私は貴方の犬ではない。

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その日、マンションに帰ると見知らない男の人が佐渡の部屋の前で立っていた。 スラッと伸びた足に、細身の体付き。でも、程好く筋肉質。漫画に出てくるような王子様みたいな容姿に私はドキドキしながら前を通った。 すると、いきなり 「佐渡の知り合い?」 と声をかけられた。 ニコッと笑った顔はまさに天使。 いや、神様の粋である。 こんな人が佐渡の知り合い?なの?友人なの? あり得ない。 「知り合いというか、隣人です」 間違ってはないよね。だって、隣人だし。 「そっか。佐渡っていつ帰ってくるか分かる?」 「あ、いつも明け方ですよ」 明け方、私の部屋で牛乳飲んでます。なんて言えない…けど その男の人は…いや、王子様は しばらく考える素振りを見せ口を開いた。 「じゃあさ、明け方佐渡が帰るまで君の家で待たせてくれないかな?あ、夕飯とか、お風呂とか気にしなくていいから。銭湯行くし、食べに行くし。あ、でも親御さんいるっけ… 学生だもんねぇ」 王子様、よく喋りますね…… って、驚くとこは そこじゃない。 えー!!(←今更)王子様が、私の部屋に… そりゃあ、イケメンだし?普通に嬉しいけど… いや、いや、普通に考えたら 今知り合って何も知らないのに安易に入れていいのか… でも、佐渡の時も似た感じだったか? でも…… でも! 「やっぱり、ダメかな?俺、泊まるとこなくて あんまり お金持ってないからホテル泊まれないし。本当は兄貴の家に泊まる予定だったのに、明け方まで帰らないんじゃ……ね」 ん? ん?? 王子様、今…何て? 誰を兄貴と、おっしゃいました?
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