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「はい!こちらに、置いておきます!嬉しいですわ…… こんなにも修吾様がワタクシの、作った お弁当が食べたいと おっしゃってくれて…」
「おい、眼鏡女!勘違いすんなよ。ただ単に、弁当が勿体ないから食べるだけで、別に俺は食べたいだなんて、これっぽっちも思ってないし、そんなこと言った覚えないからな!」
何、焦ってんだよ俺
眼鏡女がいると調子が狂わされて仕方ない
「修吾様、行ってらっしゃいませ」
見送りとか勘弁してくれよ……
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「なぁ、修吾。お前ホスト辞めるってマジかよ」
「ああ、まあな」
同僚の哲也が驚いた様子で聞いてきた
求人雑誌を開きながら赤ペンでマークする俺を隣で哲也が笑う
「ハハ。マジかよー。ホストで一位なのに、転職って……俺だったら無理だわ」
確かに給料は今の方が断然にいい。
身体張って、大金稼いで、好きなもん買って…
そんな世界から時給1000円も満たない仕事に就こうとしている俺は周りからしたら奇怪でしかないだろう。
転職したいのにはわけがある。
「ぶっちゃけて、何で辞めちゃうの?」
「最初は男に金を貢いでまで来る客が憎くて、それでやってた。過去に色々あるからな俺も。でもさ、俺だって 好きな人くらいできんだよ。極度の女嫌いになった俺が、唯一 気を許せる相手に出会ったんだ。まぁ、その女は俺なんか興味ないんだけどな。笑うだろ?」
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