第12章 白い天使に隠された闇(獣男子 (上) 完)

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「早く答えろよ」 俺の問いにビクビクしながら女は口を開く 「修也の彼女だけど……」 「はあ?彼女!?」 いきなり声をあげた俺に女は更にビクつく 修也は、ばつの悪そうな表情を浮かべ溜め息を漏らした 「修也、彼女って本当かよ」 「……だったら、何だよ」 俺の問いに修也はボソッと低い声で答えた。 「は?」 俺は、この時 修也の本当の姿を垣間見ることとなる。 まさか、修也が俺や周りの人、里子を騙してたなんて… それが俺への復讐のためだなんて、俺は知らなかった…… 「あーあ。大人しく騙されときゃ良かったんだよ。なら、平和だったのに… 俺はな兄貴に復讐するために、わざわざ来てやったんだよ。俺が何で、恨んでんのか 分かんねぇの?」 修也の目…… この俺でもゾッとするくらい冷たい 修也… 昔から、こんなんだったか? いや、違う。 修也は、もっと暖かい目をしてたはずだ 恨みの原因が俺だとしたら 俺が修也を 変えてしまったのだろうか… 恨まれる事といえば、あれしか思いつかないが 「いきなり、俺が家からいなくなったことを恨んでんだろ?」 「ああ、そうだよ。何だ分かってんじゃん。まあ、そもそも俺は兄貴が元から嫌いだったんだけどな」 頭が痛いせいか、修也の言葉が重くのしかかってくる 元から嫌いだと言われても、学生時代だった過去の俺は嫌われるような事をした覚えがない 俺は修也を尊敬してたし、勉強ができない俺は勉強ができる修也が羨ましかった 友達からも兄弟で天と地ほど、違うなと よくバカにされたもんだ 元から勉強は嫌いだったから、しなかった俺に責任はある だが、修也から嫌われるような事は 学生時代には ないはずだ。 「なあ、修也……。学生時代、俺なんか嫌われるような事したか?」
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