第2章 私は貴方の犬ではない。

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第2章 私は貴方の犬ではない。

あれからというもの、朝一の壁ドンはなくなったが、その代わりに私のスマホが何度も何度も着信される。 ストーカー並みに佐渡修吾という名が、びっしり履歴に残っている。 身震いをしながら着信にでると、第一声 「今から行くから鍵開けとけ」だ。 用件を伝えると、さっさと切ってしまう自己中っぷり。 そして、ものの15秒もしないうちに我が家に入ってくるのだ。 「着信は2回で出ろと言ったはずだろ」 私は、あんたの彼氏か何かですか? 「おい、牛乳だせ」 あんたは、成長期か! 毎日、毎日、牛乳、牛乳って。 我が家は牛乳屋でもなければ、牧場でもないのだよ。 おかげで、我が家の冷蔵庫は牛乳だらけだ。 「うぅ、寒…」 佐渡は真冬という時期なのに、ファーがついたダウンの下は常にタンクトップ。 そんなに体を見せたいのか、部屋にはいるとタンクトップ姿になる。 我が家は暖房器具などない。 そりゃあ寒いだろうよ。 いっそ、このまま風邪でもひいて寝込んでしまえばいい。 本気で、そう思っていた。
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