第2章 私は貴方の犬ではない。

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「佐渡さん、自分の部屋で寝てください。これから私は学校があるんです」 いつものごとく人のベッドを横取りして自分の家のように、くつろぐ佐渡を叩き起こす。 「めんどくせぇーから却下」 却下じゃないわ!ふつふつ と怒りが込み上げるのを眉をピクピクさせながら必死に堪えた。 そして多少、口元がひきつりながらも太陽のような満面の笑みで佐渡を見つめ小さい子を宥める様に扱う。 「さあ一緒に、お家まで帰りましょうね。ほら、お姉さん ご用があるからね。良い子だから、お家で寝ましょーね」 「ちっ!耳元でギャーギャーうるせぇんだよ。それと俺は、お前の姉さんじゃねぇし、その口調も顔もキモいんだよ」 ピキッ 今、一瞬 何かが私の頭の中で切れる音がした。 しかし、私は耐える。 「やだなぁ~。お姉さんの、どこがキモイのかな?」 「全てだ。分かったなら黙ってろ。俺は寝る」 ピキッピキッ あーーー ……はいはいはい、そうですか。 ヤツに言った所で 無駄なのだと今、今、改めて痛感させられたわ。 こうなったら首根っこ掴んででもアンタを、ここから追い出してやるんだから! 意気揚々と寝ている佐渡から布団を勢いよく捲り、力一杯、佐渡をベッドから引きずり落とす。 「何すんだよ!いてぇだろ?てか、寒いだろ?」 知るかっ! 「とにかく、帰ってもらいますからー!!」 火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか、こういうときの女の力を、なめちゃいけない。 「意味わかんね!すっげー痛いんだけど、その力どこに隠し持ってたんだよ」 隠し持ってるっていうか、私は全て出し切ってるし アンタが筋肉質で重いから、私はもう これが限界なんだけどね…! いいから、暴れないで! 真冬で寒いはずなのに、大量の汗を出しながら 佐渡を玄関まで移動させ、一気に外へ押し出す。 ついでに靴とダウンも一緒に佐渡へ放り投げた。 「じゃ、そういう事で」 「は?何がそういう事なんだよ!おい!」
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