とある冬の日

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「ん?あぁ、このコスプレの事ですか?これは先輩用です。普段着でやる予定でしたが、クローゼットを漁っていたらこれが見つかったので、急遽先輩のために着替えました」 「俺のためにわざわざ……」 「えぇ、わざわざ」 「それは嬉しいな。お陰で空白の冬休み想い出帳の唯一のページになったよ」 「なんですか、その可哀想な本は。何かは知りませんが、これだけでは終わらせませんよ~」 「あぁそうだな。これからお前と二人きりのクリスマスパーティーだ。最高の想い出にしような」 「当たり前じゃないですか。可哀想な先輩の為のパーティーですからね」 「お前も一緒だろうが」 「あぁ。そういえばそうでした。いや~、余りにも先輩が可哀想で忘れていましたよ」 「いや忘れんなよ。どうせ俺とお前なんて、似た者同士でずっと一緒にいるんだろうからな」 「……ずっと一緒……ですか?」 「あぁ。ずっと一緒だ。……別に変な意味は無いからな?」 「わ、分かってますよ、そのくらい。先輩が無意識に変なことを言うのぐらい承知の上ですよ~だ」 「なんで不機嫌そうなんだ?」 「べ~つに~。早く入らないと風邪引きますよ~」 「それは困る。風邪なんて引いたらお前に会えなくなってしまう」 「~~~~ああもう!もしそうなったらお見舞いに行ってあげますよ、えぇ!」 「おぉ、それは助かる。むしろその方がお前に甘えられるかもしれないな」 「…………ちょっともう耐えられなくなりそうなので早くあがってください。そしてパーティーを始めましょう」 「あぁそうだな。お前が風邪を引いては洒落にならん。まぁ引いたところでお前に会う口実になるがな」 「それはどうも。……さて、もういいですか?」 「あぁ。そろそろパーティーを始めよう」 「二人きりの?」 「二人きりの」 「似た者同士で?」 「似た者同士で」 「……ふふ」 「……はは」 ……今年のクリスマスは忘れられそうにないな。 「……今年のクリスマスは忘れられそうにないですね」 「!!……心読んだか?」 「?……いえ?」 「ならいいが……」 「??」 完
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