契約

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「ななしさーん、起きてますかー?」 溜息の原因が部屋に入ってきた 「起きている」 今起きたかのように返事をする 「ななしさんが来ていた服を持っていました」 きれいに畳まれた衣服を受け取る 「ああ、すまんな、ありがとう」 「その羽織、かっこいいですね」 背中に大きく『牙』と書かれた少し大きめの羽織 「大事な物だ」 それを受け取り羽織る 「友人からの贈り物でな、俺の一張羅だ、いいだろう、ん?綺麗になってる」 後ろから刺されて空いた穴が塞がっていた、それに大分長い間着ていたので所々擦り切れていたのだが、新品同然になっている 「私が直しました、ご迷惑でした?」 「いや、正直うれしい、ありがとう」 素直に礼を言う 「…かっこいいですね、自分で同じ感じのを作ろうかな…」 そう呟く 「今度貸してやるぞ?」 「いいんですか!じゃあその時同じ物を作りましょう!」 子供らしく喜ぶ縁を見て、こちらも笑みがこぼれる (この笑顔を守るのが仕事なんだな) 「じゃあ、案内してくれるか?」 外の事も含め、聞くことがたくさんある
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