契約

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風を切って山を下る、視線を縁に落とすと涙目で睨んでいる 「どうした?」 道を過ぎっていた大きな猪を軽く轢きつつ、言葉をかける 「いや!今なんか轢きました!」 慌てて抗議してくるがどうしたんだろう、たかが魔猪なんだが 「たかがって!」 「?」 「本当に不思議そうな顔してる!」 『魔猪』 長い年月を生きた猪の事を指す、妖怪にはなりきれておらず知能も低い、さらに長く生きた魔猪は聖獣となるらしい 勿論、猪より危険度は高い 「妖怪にもなれない害獣程度だぞ?」 「…私達はそれを妖怪と呼んでいるんですよ、それを害獣って…」 文字通り一蹴である 「それで大丈夫なのか?お前等、陰陽師は」 速度を落とさずに走り抜ける、普段なら半日かかる道筋もあっという間に過ぎていった 「ななしさんの知り合いには強い人ばかりなんですか?」 「そうだな、一番弱いくらいですよっと」 二匹目を轢きながら爆弾発言をする 「はぁ!」 「うるさい、黙れ」 加速して黙らせる 「うごごごご」 すでに女の子が出していい声じゃない 「俺より強いやつばかりだったさ」 スピードを少し落とし会話を再開する 「その人達なら大蛇も退治できそうですね…」 「やめとけ、被害が山一つじゃ足りんぞ」 川を跳んで渡る 「そろそろです、はやいですね」 「まあな、これでも狼だしな」 「そろそろ歩きましょう」 「おう」 止まって縁を下す 「…」 「?どうした?」 「なんでもないです」 そういって小走りで走っていった
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