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その瞬間、息が止まった。彼は満身創痍だった。服のあちこちが裂けていて、その隙間から痛々しい切り口がこちらを覗いていた。
「…っ!アリア!もう傷は大丈夫なのか!?」
自分よりも私のことを心配してくれる…、この人はそんな人だ。とても申し訳ない気持ちになりながら、その声に私は応えた。
「…ええ、大丈夫よ。それより、フォミットこそ…」
「俺はいいんだ。この町のみんなのためにも、立ち止まるわけにはいかない」
「……もう!…でも、あんまり無茶はしないでね?」
「分かってるさ。アリアを一人になんかしない…、そう約束したもんな」
そう言いつつ、敵と向き合う。そして、剣を握る手に力を込めた。すると、七曜の輝きを剣は灯した。世界に一つの一振りを、正面に構える。彼もまた、手に握る剣に光を灯し、構える。
敵は強大だ。それも、今までにないくらいに。今までに何度か遭遇したことがあるが、そのときはあいつは本気ではなかった。だが、きっと今回は本気で来る。それを、あいつから滲み出る凄まじい気配から感じ取ることができる。
「夜空式剣術一番 夜空・F・アリア!全てを出し切り、あなたを倒します!!」
「青空式剣術一番 青空・F・フォミット!全力でいくぞ!!」
私と彼は一斉に走り出す。この世界を、守るために。未来への希望を、確かなものにするために。そして、死んでいった人々に報いるために。
彼となら、どこまでも行けるーーー
そう、信じていた
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