2人が本棚に入れています
本棚に追加
怒ってるのかもしれない。
心配されてることはよくわかる。
「あなたから貰った眼鏡を否定されたからよ」
彼はきょとんとした。
「それ以上の理由がある?」
私は強気に言って席をたつ。
料金なんて払っていられない。
「眼鏡は男避けにって、贈ったときに言っただろ」
「付けると別人になれる自分が好きなのよ」
ナルシストかもしれなけれど。
「俺は似合うと思ってる」
彼は狡い。
「だけど誰かに君を渡すきもない」
誰にも聞こえないくらいの囁き。
バーや居酒屋で絡む男とは違う。
私も彼を取られたくはない。
だって、彼には奥さんがいるのだから。
けれども眼鏡は指輪の代わり。
私と彼を結ぶ秘密の鎖だ。
完
20161102
最初のコメントを投稿しよう!